記事転載:アメリカで露見した「全米1900万人が《発ガン性や赤ちゃんの低体重を促進する化学物質 PFAS 》に汚染された水を飲んでいた」という衝撃的な事実が示すのは、私たちの日本もおそらく同じ状況であること

https://indeep.jp/we-are-all-living-with-pfas-in-water/

 

アメリカで露見した「全米1900万人が《発ガン性や赤ちゃんの低体重を促進する化学物質 PFAS 》に汚染された水を飲んでいた」という衝撃的な事実が示すのは、私たちの日本もおそらく同じ状況であること

投稿日:

2019年5月7日のアメリCBSニュースより


CBS



 

化学物質PFASとは

今回ご紹介させていただきますのは、今、アメリカで大変な話題となっているもので、ひとことで言いますと、

「 PFAS と呼ばれる化学物質が全米の水道水システムから発見された」

というもので、現時点で 1900万人のアメリカ人がその水を飲んでいると推定されるというものです。

この「 PFAS 」という言葉なのですけれど、ややこしい話ですが、これは、花粉症と食物アレルギーの総称としての言葉( PFAS = Pollen-Food Allergy Syndrome )と同じでもあるのですけれど、今回の報道に出てくる PFAS は、化学物質のことです。

これに関しては、CBS ニュースの報道をご紹介する前に、アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)のウェブサイトに PFAS を説明するページがありまして、その中から一部抜粋させていただきます。これを読みますと、「その厄介性」がおわかりになるかと思います。

ここからです。

 

アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)によるPFASの説明

Basic Information on PFAS

PFASとは何ですか?

ポリフルオロアルキル物質(PFAS)は、PFOA、PFOS、GenX、および他の多くの化学物質を含む人工化学物質のグループです。

PFASは1940年代以来、アメリカを含む世界中の様々な産業で製造され使用されてきました。 PFOAとPFOSはこれらの化学物質の中で最も広く生産され研究されてきたものです。

どちらの化学物質も、自然環境や人体に対して非常に持続性があります。つまり、自然の中でも人体の中でも分解されず、時間の経過とともに蓄積する可能性があります。 PFASへの曝露がヒトの健康への悪影響につながる可能性があるという証拠が存在します。

 

PFASは以下のようなものに含まれます

・PFAS含有材料で包装された食品

・PFASを使用する装置で処理された食品、またはPFAS汚染土壌または水中で栽培された食品。

・撥水性のある布地、焦げ付き防止製品(テフロンなど)、つや出し剤、ワックス、塗料、清掃用製品、消防用フォームなどの製品

・PFASを使用する生産施設または産業(クロムメッキ、電子機器製造など)を含む職場

・特定の施設(例えば製造業者、埋め立て地、廃水処理施設、消防士訓練施設)に関連付けられた飲料水

・魚、動物、人間を含む生物。生体内で、PFASは時間の経過とともに蓄積し、そして分解されずに持続する能力を持っています。

 

PFASはなぜ重大なのか

PFASは、人々が日常的に使用するさまざまな消費者製品に含まれているために、 ほとんどの人が PFAS にさらされています。

研究によると、PFAS への曝露は、生殖と誕生への問題、肝臓と腎臓の問題、そして免疫学的影響を引き起こす可能性があることがわかっています。また、 PFAS は動物にガンを引き起こしました。 そして、最も一貫した知見は、曝露した人々のコレステロール値の上昇です。

現在までわかっている PFAS の具体的な影響としては以下のようになります。

・幼児の出生時の体重が低い

・免疫システムへの影響

・がん

甲状腺ホルモンの崩壊

ここまでです。

私もよく知らなかったのですが、この説明を読みますと、 PFAS という化学物質は、次のような面倒なものであることがわかるのです。

PFASの特徴

・私たちがふだん使用する非常に多くの製品に含まれている

・自然の中では分解されない

・人間の身体の中でも分解されない

・そして体内に蓄積していく

・発ガン性、赤ちゃんの低体重、免疫システムへの影響などがある

これを読みまして、私は、「あー、なるほど」と思いました。

In Deep で過去に取り上げてきた様々な現代の「原因不明の問題」が、ここにもリンクしているのだなあということがわかるのです。

しかし、そのあたりを先に書いてしまいますと、長くなってしまいますので、まずは CBS ニュースの記事をご紹介します。

 

なお、この報道をアメリカの出来事」として読むのは間違いかと思います。

なぜなら、生産のシステムも作られる製品のタイプも、アメリカも日本も(そして、ほぼすべての主要国も)同じだからです。

ですので、この記事は、「このようなことが全世界に広がっている」と考えながら読むのが正しいのではないかと思います。

 


New study claims 43 states expose millions to dangerous chemical in drinking water
CBS NEWS 2019/05/07

新しい調査によると、アメリカの43州で飲料水の中に危険な化学物質が含まれており、何千万人の人々が曝露されていることがわかった

米国の非営利組織エンバイロメント・ワーキング・グループ(Environmental Working Group)と米ノースイースタン大学による新しい調査報告によれば、アメリカ本土のほぼすべての州の人々が、不健康な飲料水にさらされていることが見出された。

研究者たちによると、全米の43の州が、化学物質の PFAS で汚染された場所を持っているという。その中には、飲料水の水源地も含まれている。

アメリカ疾病予防管理センター (CDC)は、これらの化学物質 PFAS は、先天性欠損症やガン、不妊などの健康問題に関連していると述べている。

この調査は、アメリカ国防総省のデータと水道事業報告書から得た情報をまとめたもので、この調査の結果からは、アメリカで推定 1,900万人が汚染された水にさらされていることを示している。

研究者たちは、公共の水道システムや軍事基地から、民間の空港、工業団地、ダンプ、消防士の訓練場まで、少なくとも 610か所の汚染された場所を見つけた。

 

エンバイロメント・ワーキング・グループの上級科学者であるデビッド・アンドリューズ(David Andrews)氏は、「これはすべてのアメリカ人にとって重大な懸念です」として、CBS の取材に以下のように述べている。

「これらの化学物質は、私たちの体の中で分解されません。そして、これらは自然の環境の中で分解されることもないのです。現実として、これらの化学物質は、私たちの血液の中に留まり続けるのです」

エンバイロメント・ワーキング・グループは、声明の中で、作成したインタラクティブ・マップは、化学物質 PFAS のアメリカ国内での汚染を追跡するために利用可能な最も包括的な情報源となると述べている。

アメリ環境保護庁 (EPA)によると、PFAS は、クリーナー、布地や織物、皮革、紙および塗料、消防用フォーム、および電線の絶縁などの幅広い耐久財に使用されているという。

アンドリューズ氏は以下のように言う。

「この PFAS という化学物質には、さまざまな健康システムに影響を与え、精巣ガンや腎臓ガン、そして、心臓や肝臓、甲状腺まで、さまざまな健康上の問題を引き起こす可能性があるのです」

約 20年間この化合物を研究してきたエンバイロメント・ワーキング・グループの代表であるケン・クック(Ken Cook)氏は、次のように述べている。

アメリ環境保護庁は、PFAS の問題に対処することに完全に失敗したと言えるでしょう。今回のこの重大な危機は、連邦の化学物質規制システムの失敗に起因する複雑な問題に原因があります」

環境保護庁は、すべての PFAS 化学物質から、アメリカの人々の健康を守る法的制限を設定するために迅速に行動する必要があります。そして、汚染された水道を浄化する作業を公益事業に要求します」

ノースイースト大学の社会科学および健康科学の教授であり、社会科学環境衛生研究所の所長であるフィル・ブラウン(Phil Brown)氏は、次のように述べる。

「このインタラクティブ・マップは、PFAS による汚染が、実にアメリカの全国規模の問題であることを示しているのです」

この今回の報告書は、エンバイロメント・ワーキング・グループの別の研究の発表の 1週間以内に発表された。

その別の研究では、カリフォルニア州の飲料水から発見された複数の有毒な化学汚染物質が、今後数十年間で推定 15,000件を超えるガンの発症の原因となる可能性があると主張している。

科学者たちは、2011年から 2015年の間にカリフォルニア州の 2,700を超える給水システムで毒素と発ガン物質を発見している。

飲料水汚染物質の規制の見直しにより、環境保護庁には、二段階の飲料水の規格がある。一次規格は水中の有害物質の封じ込めに焦点を合わせ、二次規格は、肌や歯の変色を引き起こす、あるいは味が悪い、臭いがする、色があるということに焦点を当てている。

しかし、環境保護庁は、飲料水中の PFAS 化学物質に対して、法的に強制力のある制限を設けてはいないという。

アンドリュー氏は、CBSに対して、このように語る。

環境保護庁は、健康のための推奨値を設定してはいますが、それは法的拘束力のある制限ではありません」

「そして、問題の一部としては、20年以上もの間、水道水の汚染物質に対して、新たな法的な制限を設定していないことです。私たちの水に含まれる可能性がある化学物質規制のシステム全体が壊れているのです。そして、アメリカの政府機関は、科学的に遅れているのです」

エンバイロメント・ワーキング・グループは、すべての PFAS 化学物質に 1ppt、つまり 1兆分の 1という制限を設けることを提案している。これは、他の機関の規制当局が安全と見なしている量よりはるかに少ない量だ。

CBSニュースへの声明の中で、アメリ環境保護庁は、次のように述べた。

環境保護庁は、アメリカの安全飲料水法(米の水道水に関する法律)で、PFOA と PFOS (共に化学物質 PFAS に含まれる)は、最大の汚染物質だと規定しています。この法律で規定されているプロセスは、公共用水システムの汚染物質に対する規制を策定する際の科学的完全性と透明性を保証します」

アメリカの政府機関は今年、「政府機関が PFAS に対処し、公衆衛生を守るために取っている具体的な措置」を概説した PFAS 行動計画 (PFAS Action Plan)を発表した。


 

ここまでです。

先ほどのアメリ環境保護庁の PFAS の説明にあった以下の「人体への影響」を思いだします。以下のようなものでした。

・幼児の出生時の体重が低い

・免疫システムへの影響

・ガン

甲状腺ホルモンの崩壊

どれもこれも、過去の記事で、

「どうして社会はこんなことになったのだろう」

という疑問と共に書いていたことです。

 

根本的な原因がわからないと思っていたいくつかのことは

たとえば、低体重の赤ちゃんが日本で増え続けていることを書かせていただいた以下の記事。

増加し続ける低体重の赤ちゃんたちの「成人になってからの大きな健康リスク」が次々と明らかになる中、お腹の中の赤ちゃんの成長を阻害しているものは何なのかということを「社会」は真剣に考え直していただきたいと思うのです
 In Deep 2017年2月15日

世界中で低体重の赤ちゃんは増えているのですが、日本の場合は、以下のように特に増加しています。

2002年までの日本の低体重児(2500g以下)の数の推移

 

低体重で生まれた赤ちゃんは、「成人後」の疾患率や死亡率がとても高いことなどを上記事でふれてもいますが、「どうして、こんなに急激に増えたのか」という根本的なところはわからないままでした。

「免疫の異常」や「ガンの増加」についての過去記事もたくさんありますけれど、日本の場合の、それらも根本的な原因がどうもわからない部分がある。

しかし、「自然でも人体でも分解されないで残り続ける PFAS 」は、もしかすると、かなりの関係を持つものなのかもしれません。

同時に思いますのは、アメリカでの PFAS クライシスを知りまして、おそらく……というより、ほぼ確実に、日本の水道システムも、一部は PFAS で汚染されているはずです。

実際調べてみますと、日本の多くの化学系製品を扱う大企業のウェブサイトには、「 PFOA への取り組みについて」というようなページがあるのですね。

PFOA とは、今回出てきた PFAS の中のひとつです。

もちろん、それぞれの企業の方々は、いろいろと企業努力はされているのでしょうけれど、今回のアメリカでの「 PFAS の拡大の現実」を見ますと、日本はもちろん、製造業が強い多くの主要国では、同じような事態になっている気がします。

 

それにしても・・・よく考えてみますと・・・この PFAS という化学物質は、

「自然界では分解されない」

のですよね。

それなら、この先、「永遠に地球に残る」ということなのですかね。

永遠というのは大げさにしても、半永久的に地球の水体系の中に残りそうです。

世界中に拡大している PFAS を人為的にすべて除去する方法など、あるわけないでしょうし、PFAS 次から次へと川から海へと拡大し、そして、

「 PFAS は永久に地球の水の中に漂う」

というようなことになりそうです。

そして、現状では、PFAS を使用する製品や施設は増える一方となっています。