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記事転載:「総務省マネー」に毒されケータイ電磁波安全宣言する研究者たち

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総務省マネー」に毒されケータイ電磁波安全宣言する研究者たち
総務省が制作した『電波と安心な暮らし』。
 ケータイ電話やケータイ基地局の電磁波の安全性や技術の研究につぎ込まれている莫大な「総務省マネー」。このカネは、大学から、公益法人、業界団体、さらにはKDDIなどの電話会社にも億単位の規模で注ぎ込まれているが、自らの安全性についての研究を自ら行うという、中立な第3者によるものとは到底言えないメンバー構成になっている。しかもカネの使途は不透明で、福島医科大学では領収書が存在しない「間接経費」500万円の存在が明らかになった。生活者不在のまま、産・学・官が一体となって推進する日本の電波政策を探ると、電話会社や総務省が繰り返す電磁波「安全宣言」の危うさが浮上する。

【Digest】
◇福島医大は5千万円を請求
◇領収書は存在しない
◇電磁波研究、すべて「安全」の結論
◇06年に178億円の補助
KDDIなどにも研究費を支出

 基地局の撤去を求めたり、設置に反対する運動が広がっている地域を 取材すると、
 住民たちがよく耳にするフレーズがある。

 「荻野先生が、電磁波の測定に来られた」

 このフレーズをわたしは全国各地で聞いた。
 荻野先生とは元京都大学の講師で、電磁波環境研究所を主宰している荻野晃也博士のことだ。電磁波研究の第一人者である。一貫して電磁波の危険性に警鐘を鳴らし続けてきた。

 荻野さんは 『危ない携帯電話』(緑風出版) の中で、日本における電磁波研究の実態を次のように批判している。

   
   この日本では、政府からの支援による研究が行われています。上野照剛東大教授(定年後、九州大学特任教授)を委員長とする「生体電磁環境研究推進委員会」なのですが、2007年3月に最終報告書を提出して解散しました。10年間で研究支援に使われた費用は100億円を超えるのではないかと思われるのですが、危険性を示す研究はゼロといって良く、安全宣伝費用に使われたと言って良いでしょう。

 その委員会は電磁波利用に利益のあるような人たちばかりで構成されていましたから当然のことだろうと思いますが、EU諸国の研究支援と比べると、あまりにも差があります。一番重要な疫学研究をできるだけ避けるようにして、悪影響の出ないような研究計画を最初から立てているように思えるものが多いのです。


 生体電磁環境研究推進委員会とは、総務省に設置された「電波の生体安全性評価に関する研究・検討」を行う委員会である。その委員会が「電磁波利用に利益のあるような人たちばかりで構成され」て、研究事業に多額の金を使ったというのだ。 (同委員会の構成員リストはここをクリック、表1に表示)

 この生体電磁環境研究推進委員会による研究事業の委託先のひとつにテレコム先端技術研究センター (以下、テレコム)という団体がある。この団体は、わたしが調べた限り、電気・通信関係の業界団体である。事実、役人構成は次のようになっている。

 

会長     安田靖彦   東大名誉教授

常務理事  藍沢幹人   常勤

理事     飯塚雄次郎  日立製作所

理事     岩崎哲久  東芝

理事     重松昌行   住友電気

理事     田中茂    沖電気

理事     古川浩史   KDDI

理事     青木和之   元東海電気

監事     伊藤浩司   日本電信電話

 

 さらに18人の評議員のうち14人が電気会社、あるいは通信・電話会社の関係者が占めている。社名だけ公開しておこう。

 古川電気、KDDI、シャープ、日立、三菱電機東芝沖電気ソニーフジクラ、住友電気、富士通日本電信電話日本電気パナソニック

 つまり生体電磁環境研究推進委員会は、業界団体であるテレコムに電磁波の安全性に関する研究事業を任せたのである。公正で中立な研究が出来るのか、疑問が残るが、研究事業は押し進められたのである。

 研究費として総務省からテレコムに投入された資金は、次の通りである。  

金額
2002年(平成14年度) 3億6300万円
2003年(平成15年度) 3億8350万円
2004年(平成16年度) 4億5663万4000円
2005年(平成17年度) 4億6620万円
2006年(平成18年度) 4億2000万円
2007年(平成19年度) 4億1323万2000円

◇福島医大は5千万円を請求
 このうちケーススタディとして、2007年度の経費を検証してみよう。この年の経費・約4億1320万円のうち、テレコムが研究事業を発注した大学などの研究機関へ支払った「総務省マネー」は次の通りである。いずれも研究機関からの請求に基づいた額である。()の中は研究者の名前である。

福島県立医科大学(宇川義一) 10月11日、5000万円

福島県立医科大学(宇川義一) 10月11日、500万円

東京大学(花島律子) 10月17日、800万円

東京大学(寺尾安生) 11月15日、1500万円

国立保健医療科学院(牛山明) 9月21日、2500万円

東京女子医大(不明) 10月3日、5850万円

名古屋市立大学(不明) 10月23日、3000万円

金沢医科大学(不明) 10月1日、3080万円

名古屋工業大学(平田晃正) 9月21日、1000万円

名古屋工業大学(藤原修) 9月21日、2350万円

東京大学(名川弘一) 10月17日、1870万円

弘前大学(宮超順二) 10月4日、2000万円

首都大学(不明) H20年3月21日、2550万円

北海道大学(野島俊雄)   10月24日      1000万円 

明治薬科大学(大久保千代次) 9月27日       1300万円

 引用したデータから興味深い2つの事が指摘できる。
 まず、第一に研究の受注を受けた研究者の一部が、生体電磁環境研究推進委員会の委員を兼ねていることである。たとえば、明治薬科大学の大久保千代次教授や、北海道大学の野島俊雄教授である。

◇領収書は存在しない
 第2に、請求額が区切りのよい端数になっていることである.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。



 
総務省の資料「10億円以上の補助金を受けた国所管理公益法人」。電波産業界は178億円、移動通信基盤整備協会は34億円の補助を受けている。(平成18年決算ベース)
 
(上)電波産業界の役員名簿。(下)移動通信基盤整備協会の役員名簿。いずれの団体も、通信・電話会社、電気メーカなどの重役が名を連ねている。

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